子猫がやってきた1

我が家の猫は女の子。

 

背中にうり坊のような縞模様があるので、ウリ科の「ウリ」と命名した。

 

生後3週間ほどで保護してから、もうすぐ2歳になる。

 

生後3週間というのは、動物病院の先生のお見立て。

 

もらった健康手帳の誕生日欄には、3週間さかのぼった日が記されていた。

 

一応誕生日が何月何日と決まっていれば、こちらももやもやが少ない。

 

九月の雨の夜に、交番の前の植え込みの中で、戸惑ったように小さな鳴き声を上げる子猫を、たまたま通りがかった息子が拾い上げて、家まで連れてきた。

 

私はすぐに近くのスーパーマーケットまで走って、とりあえず子猫用のミルクとシャンプー剤を買ってきた。

 

子猫は、口の周りを白く濡らしながら皿からミルクを飲むことができた。

 

段ボールの中で少しもじっとしていない子猫を抱き上げて観察してみると、左目と左ほほが右がわよりも若干小さいことに気がついた。

 

顔の左がわに発育不全があるようだった。

 

おそらく、生まれたばかりの頃はもっと顕著に表れていただろう。

 

尻尾をなぞってみたら、先の方で鍵尻尾になっている。

 

 

抵抗する小さな体をこわごわ押さえながら、シャワーを浴びせた。

 

お湯は真っ黒に汚れ、蚤は何匹もついているに違いないと覚悟を決めていたが、なんと、蚤一匹落ちてこないし、シャンプーも一回で済ませるほどお湯がきれいだった。

 

最初から悪臭などなかったので、捨てられたばかりなのは明らかだった。

 

                         ≪続く≫

 

 

 

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