親指をお大事に!

 

 

 

足の親指の名称は母趾だそうです。

 

あの「外反母趾」の母趾ですね。

 

母趾は第一趾とも言い、順に第二趾、第三趾、第四趾、第五趾と続きます。

 

でも、やっぱり、「足の親指が痛い…」とか「足の小指ぶつけた…」などと、手指と同じように呼ぶほうが馴染み深いですよね。

 

今日はその足の親指のお話です。

 

 

 

数年前に、「KuToo」運動が話題になりました。

 

「KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけたもので、ある女性が「職場でのパンプス、ヒール靴の強制をなくしたい」との思いから声を上げたのが始まりで、「KuToo」運動が起こったようです。

 

反パンプス運動「痛い靴で働くのは嫌」は当たり前
働く女性や就職活動をする女子学生の中から「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動としてハイヒール強要についてあがった抗議の声が話題になっている。1万9000通近くにのぼる署名が集まり、大手企業の学生採用面接が解禁される6月に合わせて厚生労...

 

 

 

私は二十代、三十代と通勤にパンプスを履いていました。

 

私の場合は、職場の雰囲気に合わせたということもありますが、おしゃれのアイテムのひとつとして自身が好きで履いていました。

 

私の好みは、装飾が全くついていないシンプルなデザインで中ヒール。

 

譲れなかったのは、甲の部分が広く開いていて、ヒールや爪先部分は細目だというものでした。

 

ひざ下丈のフレアスカートやタイトなスカートにパンプスを合わせて、少しでも脚をキレイに見せようと考えていました。

 

パンプスを履くと、猫背の私もその時ばかりは背筋が伸びて、コッコッコッとリズムよくアスファルトに鳴る踵の音を耳にしながら、颯爽と歩くように意識していました。

 

職場内では上履きに履き替えていたのですが、それでも、仕事や用事を終えて帰路につくころには、時々、いいえ、たびたび、爪先に、特に親指に圧迫痛がありました。

 

時には、疲れとむくみのせいで爪先の痛みと違和感が増大し、ほうほうのていで自宅までたどり着いたこともありました。

 

玄関でパンプスを脱いで、ギュウと詰まった指先を解放したときの脱力感と安堵感といったら…。

 

私が履いていたパンプスは、何度買い替えても毎回足に負担がかかっていました。

 

そりゃそうですよね、デザインが同じようなものばかりでしたから。

 

長年パンプスによって圧迫された足指は、親指が付け根を中心にして「く」の字に内側に傾き始めていました。

 

今ならそれが外反母趾の始まりだと理解できますが、靴さえ脱げば痛みもすぐに治まるので、その状態を「異常」ととらえることは考えが及びませんでした。

 

その後何度か仕事が変わり、私の履く通勤靴も変化しましたが、パンプスはフォーマルな場所以外では履かなくなりました。

 

現在の靴選びは、親指の付け根を圧迫しない足囲3E~4Eサイズのものが第一条件となりました。

 

親指は現在痛みはありませんが、内側に少し傾いたままです。

 

私は女性の素足を見る機会があると、つい親指に視線が走ります。

(踵や爪も気になりますが)

 

素人の私が見ても「外反母趾」と判別がつくほど親指と付け根が変形していても、当の本人がそれと気がついていない場合があることに驚きます。

 

私は爪先の細い靴やヒール靴を履いている女性を見かけると、かつての自身の圧迫痛を追体験して足の指がうずきます。

 

親指をお大事に!と祈るような気持ちになります。

 

≪終≫

 

足に違和感をお持ちでも、ビジネスマナーとして職場でパンプスを履かざるを得ないお人もおられるでしょう。シューフィッターのお世話になるのもよいかもしれません。ご無理をなさいませんように。

 

 

 

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